全国公私病院連盟(公私病連)が2月21日に公表した「令和6年(2024年)病院運営実態分析調査の概要」によると、2024年度診療報酬改定が施行された直後の24年6月における集計対象病院の100床当たり総損益差額と医業損益差額はともに2000万円を超える赤字だったことが分かった。費用が収益を上回る伸びを示したことや外来収入の減少などが影響し、赤字額は前年同月からさらに拡大した。
調査は公私病連加盟団体の所属病院を対象に毎年6月に実施されているもので、24年は812病院が集計対象となった。開設者別の内訳は、自治体病院387、その他公的病院(日赤病院など)214、私的病院175、国立・大学附属病院等36。
集計対象病院における100床当たりの収支をみると、24年6月の総費用は2億4760.0万円(前年同月比2.1%増)、医業費用は2億4415.0万円(1.9%増)。医業費用の内訳は、①給与費:1億2529.0万円(3.5%増)、②材料費:6362.1万円(2.1%減)、③経費:3798.6万円(2.1%増)―などで、給与費と経費の増加が医業費用全体の伸びに大きく寄与した。経費の中では、委託費(2011.8万円・前年同月比6.2%増)の増加が目立つ。
対する100床当たり収益は微増にとどまり、総収益は2億2538.1万円(前年同月比0.9%増)、医業収益は2億1960.1万円(0.3%増)となった。医業収益の内訳をみると、入院収入(1億4659.0万円)は前年に比べ1.9%増加したが、外来収入(6634.9万円)は2.4%減少した。
この結果、総収益から総費用を差し引いた総損益差額は2221.9万円の赤字(前年同月1898.0万円の赤字)、医業収益から医業費用を差し引いた医業損益差額は2454.9万円の赤字(前年同月2052.7万円の赤字)となった。総損益差額と医業損益差額の赤字額は21、22年度に一時縮小したが、23年度に再び悪化に転じ、24年度は2年連続での増加となった。
24年6月1カ月分の総損益差額が黒字だった病院の割合は19.9%、赤字病院は80.1%で、赤字病院割合は20年以来、4年ぶりに8割を超えた。開設者別でみた赤字病院割合は、自治体病院94.5%、その他公的病院73.7%、私的病院62.0%となっている。