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資産に応じた負担で介護職員の処遇改善を [お茶の水だより]

No.4737 (2015年02月07日発行) P.12

登録日: 2015-02-07

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▼2015年度予算編成で焦点となった、介護報酬の改定率は全体でマイナス2.27%に決着した。介護職員処遇改善加算の拡充に1.65%、「中重度者の要介護者や認知症高齢者に対して良好なサービスを提供する事業所」等への加算措置の拡充に0.56%が配分され、適正化はマイナス4.48%に決定。過去最大のマイナス改定だった2003年度改定の2.3%は下回ったものの、9年ぶりのマイナス改定となった。
▼改定率について塩崎恭久厚労相は、麻生太郎財務相との折衝後の会見で「当初、処遇改善加算は(月額平均)1万円と言われていたが、1万2000円に拡充した」と成果を強調。一方、介護事業者からは「処遇改善加算があっても、事業所全体の収益が減れば経営状態が悪化し、従業員の賃金引上げも困難になる」との声が挙がっている。
▼大幅なマイナス改定の中、処遇改善加算が維持・拡充されたことは評価できる。2013年の厚労省統計では、全産業の平均給与が32万4000円であるのに対し、介護事業は23万8400円にとどまる。6%のマイナス改定を主張していた財政制度等審議会も、それと同時に処遇加算の拡充も提言するなど、介護職の待遇改善は財務省も認める課題だ。
▼この問題を解決するには2つの方向からのアプローチがある。1つは介護職の資質向上や雇用管理の改善により、経済的・社会的評価を高めることだ。処遇改善加算を巡る今回の議論では、賃金を労働者の性別・年齢・企業規模・勤続年数などを調整した上で他業種と比較したところ、相対的に賃金が高い層もいるとのデータが厚労省から示された。
▼もう1つは、サービス利用者の資産に応じて負担する仕組みの導入だ。生活が苦しい高齢者も多い一方で、個人金融資産の約6割は60歳代以上が保有している。多額の資産があり毎月数十万円の年金を受け取る利用者でも、介護保険は1割負担だ。2014年に成立した改正介護保険法では、特養入所者に対する食費・部屋代の補助制度の認定基準が、所得が低くとも単身で1000万円以上の貯金がある場合は補助の対象から外れるなど厳格化された。介護保険の利用者負担も所得だけでなく、資産に着目し引き上げれば、介護職員の処遇改善の原資に充てられる。
▼将来的には介護従事者の大幅な不足も見込まれる中、持続可能な介護保険制度を維持するためには、十把一絡げに「介護職員」「高齢者」と括るのではなく、実態に即したきめ細やかな政策が必要だ。

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