難易度★★★☆☆
司 会:今日は消化器内科からの症例ですね。消化器内科指導医のS先生にも参加して頂いていますが,S先生はこの症例を診療しておられないそうです。
担当医:ではお願いします(スライド1)。
ずっと健康だった若い男性が,1~2年前くらいから,腹痛と嘔吐のエピソードを反復するようになりました。1回1回は強烈なようです。
間欠期のある「腹痛と嘔吐」
会 場:頻回とのことですが,どの程度ですか。毎月でしょうか。
担当医:2カ月に1回程度です。ただ,最近だんだんペースが早まってきて,2週間に1回くらいになってきました。
会 場:熱は出ていませんか。
担当医:出ていないようです。
では進めます。来院時の身体所見です(スライド2)。腹部の圧痛は少しありましたが,あまりこれといった所見がないという感じでした。
指導医S:腹痛の場所は毎回同じですか。
担当医:毎回主に心窩部です。
会 場:今回の経過はわかりましたが,毎回このような感じなのでしょうか。
担当医:今回は当院ですが,いつもはかかりつけ医に嘔吐・腹痛で受診し,入院して絶食・補液にすると翌日にはよくなってしまって短期間で退院するといったことのようです。
会 場:間欠期はまったくの健康人ですか。
担当医:たまに症状が出てしまうというか,小さい腹痛は残ってしまうというか,少しみられることもあるそうです。
総合診療科指導医K:患者さんは嘔吐と腹痛のどちらがつらいのですか。つまり腹痛の強度というか,正気を失うくらい痛いのか,ちょっと痛いだけで嘔吐がつらいのか。
担当医:けっこう痛がってはいますが,騒ぎ立てて,のたうち回る感じではないです。
指導医K:じゃあ,急性間欠性ポルフィリン症はちょっと違いますね。しかし,もっと聞かないと否定はできないと思います。
司 会:担当医の先生にお聞きしますが,攣縮を考慮してもよい部位なのでしょうか。
指導医K:冠動脈の攣縮でしょうか。
司 会:いや,噴門部痙攣とか。
担当医:ありうるかもしれません。次は血液検査所見です(スライド3)。