【Q】
HBs抗原(-),HBs抗体(+),HBc抗体(+)の透析中の入院患者がいますが,担当看護師はHBs抗体(-)でB型肝炎ワクチンを何度接種しても抗体がプラスになりません。このケースで針刺し事故が起こったとき,看護師が感染する可能性はありますか。また,事故直後に抗HBsグロブリンを注射すれば感染を回避できますか。【A】
血液維持透析中の患者におけるB型肝炎ウイルス(HBV)感染症に関するご質問です。HBs抗原陰性,HBs抗体・HBc抗体陽性であり,“感染治癒後”と判断されますが,このような状態でも血液中に感染力のあるHBV-DNAが存在することがしばしばあります。したがって,患者のHBV-DNAを高感度のreal time PCR法を用いて測定することがまず必要です。HBV-DNAが陰性であれば,針刺しなどの曝露で感染することは考えなくてよいと思われます。
1) Katayama K, et al:Hepatol Res. 2015 Jan 19. doi:10. 1111/hepr. 12492. [Epub ahead of print]