【Q】
心不全と軽度腎不全の合併例で,利尿薬などで利尿がつかず,やむなく持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration:CHDF)を行うと,1割以下の症例で,CHDF開始とともに利尿がついて早期に回復できることを経験します。これについて,どのような病態が考えられますか。また,上記のような病態に対するCHDF施行開始の基準はあるのでしょうか。 (鹿児島県 Y)【A】
腎機能障害と心機能障害はしばしば併存し,それぞれの病態により,互いに悪影響を及ぼして悪循環に至ります。これは心腎症候群(cardiorenal syndrome:CRS)と呼ばれ,2008年のAcute Dialysis Quality Initiative(ADQI)のコンセンサスカンファランスで,type1~5に分類されました。type1は,急性心不全による急性腎障害(acute kidney injury:AKI)です。質問内容から,CRS type1を主たる病態とする症例に対し,CHDFを導入したと推察します。
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