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早朝高血圧患者への対応

No.4758 (2015年07月04日発行) P.67

星出 聡 (自治医科大学循環器内科准教授)

登録日: 2015-07-04

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

朝と夕方の血圧の差が大きい高血圧患者の治療に苦心することがあります。朝の収縮期血圧が150~160mmHgとなり,降圧薬を投与しようとしますが,夕方には収縮期血圧が90mmHg以下と,ふらつきを訴えるほど低くなります。
最近の降圧薬は1日1回の長期作用型がほとんどであるため,投薬時間の朝から夕への変更を試みましたが,うまくいきません。何か良い方法があれば,ご教示下さい。 (京都府 S)

【A】

朝の血圧の過剰な上昇がなぜ生じるのかは,明確にはなっていませんが,いくつか要因は考えられます。まず生活習慣として,飲酒が多いと早朝血圧が上昇することが明らかになっています。ほかに,夜の血圧上昇から続く体液貯留が原因と考えられる場合,あるいは,早朝のみに血圧が上昇する場合は,おそらく血管の機能や構造(動脈硬化)による原因が挙げられると思います。
前者であれば,就寝前の少量サイアザイド系利尿薬で効果がみられる場合があります。後者の場合,その原因に伴い,交感神経系,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(renin angiotensin aldosterone:RAA)系の亢進が関与しているとされているため,古典的には就寝前に交感神経遮断薬やRAA系抑制薬を投与する方法が報告されています(文献1)。
ただし,前述のように血管の問題が主ならば,いくら降圧薬を駆使しても短期間で効果が得られることはありません。食事や運動療法,ほかのリスクファクターの管理を含めて,最終的に早朝高血圧の抑制をめざすしかないと思います。

【文献】


1) Kario K, et al:J Hypertens. 2008;26(6):1257-65.

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