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歩道や駐車禁止区域の私的利用や駐車に関する規制

No.4767 (2015年09月05日発行) P.69

鎌野邦樹 (早稲田大学大学院法務研究科教授)

登録日: 2015-09-05

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

住居や店舗の前などの私有地ではない歩道に植木鉢などを置いたり,荷下ろしなどのために駐車禁止であるはずのところに昼間は常時駐車している例が多くあります。実際に違反・処罰を与えるなどの法的対応がなされているのですか。 (兵庫県 K)

【A】

ご質問の趣旨は,これらの行為は法的に許されないと思われるが,どのような法律によって,どのように規制されているのか,また実際にこれらの行為が多くなされているのにもかかわらず取り締まられていないではないか,ということだろうと思います。
まず,歩道を含む道路に植木鉢などが置いてある場合を考えてみましょう。これは実際には,植木鉢・プランター以外にも,陳列商品,立て看板,ゴミ箱,コーンのほか,自動販売機や道路上の空中へはみだした看板や日除けなどが問題となっています。食事施設(食堂・レストランの椅子・テーブル)を含め,道路の占用のためには,道路法に基づき,道路管理者の占用許可を受けなければなりません(第32条1項)。そして,道路管理者は占用料を徴収することができます(同法第39条1項)。
道路管理者には,たとえば市町村道の場合には市町村が(同法第16条1項),都道府県道の場合には都道府県がなります(同法第15条)。
道路の占用許可を受けていない前述のような不法占用者に対して,道路管理者は,行政指導をし,それに従わない場合には除去等を命ずる監督処分を実施し,その履行がない場合には行政代執行をすることができます。また,不法占用者に対しては,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することができます(同法第102条)。
しかし,現実には,不法占用の数が多く,軽微な違反についてまでは行政の指導や監督処分が行き届かないこともあります。また,たとえ指導や監督処分がなされても,それらに従わない場合には,行政代執行によらざるをえません。ただ,行政代執行のためには,その要件として,(1)ほかの手段によってその履行を確保することが困難であり,かつ,(2)その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるとき,でなければならない(行政代執行法第2条)ことから,実際には,行政代執行は稀にしか実施されません。
次に,道路交通法によると,車両は,「駐車」が禁止されている道路等に駐車してはならず,これに違反した場合には,一定額の罰金に処せられ,場合によっては警察官等により車両が移動させられます(第44条,第51条など)。ただ,同法により,貨物の積卸しのための停止で5分を超えない時間内のものや人の乗降のための停止は,「駐車」からは除外されます(第2条18項)。しかし,ご質問にあるような継続的な停止や,運転者が車両から離れて直ちに運転する状態にない場合には,「駐車」に含まれ(同項),同法の違反となります。上記の植木鉢などの占用のケースと比べると,車両の駐車違反に対しては,多少実効的な措置がとられているようです。

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