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ノロウイルス抗原キットの反応が薄い場合,判断に迷うのですが…

 【濃淡があっても青を含む発色で陽性を判断】

No.4785 (2016年01月09日発行) P.58

白川利朗 (神戸大学大学院保健学研究科国際保健学領域 感染症対策分野教授)

木下承皓 (神戸大学医学部附属地域医療活性化センター 総合臨床教育係)

登録日: 2016-01-09

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

嘔吐・下痢患者に対するノロウイルス抗原キット(クイックナビTM-ノロ2)のテストラインに薄く青色の発色を認めました。数日後の検査でも,結果は同様でした。この場合,ノロ感染と断定できるのでしょうか。 (福岡県 T)

【A】

クイックナビTM-ノロ2の添付文書には,判定上の注意事項として,「糞便検体中の抗原量又は検体由来成分によっては発色の色調や濃淡が変化する可能性がありますが,青色を含む発色が認められれば検査結果は有効としてください」との記載があります。また,RT-PCR法と比較した場合,感度は92.0%,特異度は98.3%と報告されており,偽陽性率は非常に低い検査キットですので,本ケースでも2回とも糞便検体中にノロウイルスが存在していたと考えられます。
ノロウイルスの排泄期間ですが,症状消失から1週間程度,場合によっては1カ月程度に及ぶとの報告(文献1)もありますので,数日にわたって陽性結果が継続する場合も多いと思われます。ノロウイルスは感染力が強く,上述のように症状消失後もウイルス排出が続きますので,二次感染の予防などに十分な注意が必要です。

【文献】


1) 西尾 治, 他:食衛誌. 2005;46(6):235-45.

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