薬剤性過敏症症候群(DIHS)の原因薬は特定の薬剤に限られている
麻疹や伝染性単核球症を考える症例は,必ずDIHSも疑う
原因不明の皮疹で,DIHSの原因薬を内服する症例は,DIHSを疑ってみるとよい
DIHSは初期に診断基準を満たさないため,診断基準を満たしていない症例でもDIHSを否定してはいけない
薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)は,特定の薬剤を長期に内服することにより引き起こされる重症薬疹のひとつである。DIHSは皮疹だけでなく,発熱や多臓器障害を伴い,経過中にウイルスの再活性化(HHV-6など)があることが特徴となっている。
DIHSの死亡率はほかのスティーヴンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)や中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)などの重症薬疹と比較しても高い1)。DIHSを見逃さず,適切な治療を開始することが非常に重要である。しかし,DIHSはほかの重症薬疹と異なり,初期に特異的な臨床症状が少なく,時に湿疹やウイルス感染症と類似し,見逃してしまうことがある。
そこで,ここではDIHSの特徴と診断法について解説し,実際に初期に見逃された症例を紹介し,DIHSを見逃さないためのポイントについてまとめる。
まず,DIHSの特徴は,特定の薬剤によって発症することである(原因薬剤については次項でまとめる)。そして,その薬剤の内服期間がほかの薬疹に比べて長い点も特徴となっている。一般的な薬疹において,初めて内服した薬剤では1~3週間で症状が出現する。それに対して,DIHSの内服期間は2週から1カ月以上となり,時に数カ月に及ぶこともある。その結果,初診時に原因薬が見過ごされてしまい,そのまま継続されてしまう症例も多い。
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