保険償還の可否の判断材料とはせず、償還価格の再算定に使用
対象は保険収載後、1回または2回の改定を経た品目
効果の指標には基本的にQALYを使用
選定基準に「ピーク時売上高の高いもの」
費用対効果評価専門組織(仮称)が総合的評価
2016年度から試行導入される医薬品・医療機器を対象とした「費用対効果評価」の大枠が固まってきた。そこで今回は、費用対効果評価の概略とポイントを紹介する。
費用対効果評価は、これまでの日本の医薬品・医療機器の価格設定における主な指標である「有効性」に、「効率性」を加味して評価を行う仕組み。背景には、近年高騰傾向にある医薬品・医療機器の価格に経済的視点を導入し、医療費抑制につなげたいという狙いがある。
諸外国の導入状況は上表の通り。医療制度が税制度か保険制度によるものかなど固有の事情もあり、それぞれ活用方法は異なるが、費用対効果評価の視点を導入している事例は多い。
日本における費用対効果評価はどのような制度になるのか。当面は患者アクセスを阻害するとの考えから、保険償還の可否の判断材料としては使用しない方針だ。そのため対象は、「保険収載後一定期間の経った医薬品や医療機器」に限定し、評価結果に基づく再算定に用いることとなる。
対象品目の線引きについては、11月20日に開かれた中央社会保険医療協議会の費用対効果評価専門部会で、「保険収載後、1回または2回の改定を経た品目」と決まった。選定基準では、①新規性が高いことを直接的に評価している原価計算方式で算定されたもの、②類似薬効比較方式で算定され、一定の補正加算が認められたもの─のいずれかでかつ「ピーク時売上高の高いもの」が要件となる見込み。
治療方法が十分に存在しない希少な疾患、例えば指定難病や血友病、HIV感染症などの希少疾患に対する治療に用いる医薬品・医療機器に加え、未承認薬等検討会議や医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会からの開発要請品目や公募品目は除外される。
今後、対象品目の具体的な選定などを行った上で、16年度から費用対効果評価がスタートする。
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