Ground glass nodule(GGN)は,気管支や脈管が透見できる程度の淡い陰影で,高解像度CTの普及により多く指摘されるようになってきた。縮小傾向のないものは,腺癌やその前がん病変であることが多い。病理学的には肺胞隔壁の構造を保ったまま増殖する肺胞上皮置換型で空気が残存するため,画像上すりガラス様となる。しばしば同時性,異時性に多発し,治療方針に苦慮することも多い。
種々の見解はあるが,おおむね長径≧15mmまたは充実成分≧5mmが切除の適応基準とされている。増大するとしても通常は非常に遅く,数年変化しないものも多い。増大傾向の有無の見きわめには3年以上の観察が必要である。増大予測因子としては長径,肺癌の既往,喫煙歴といった臨床的・画像的特徴に加え,EGFR遺伝子変異との関連も示された(文献1)。
後方視的検討では,肺腺癌切除例全体の5年生存率が75%(文献2)である一方,GGNを主体とする腺癌は97%(文献3)と予後良好である。すべてのGGNに対して通常の肺癌と同じ肺葉切除が必要であるとは考えにくく,縮小手術(部分切除や区域切除)の有用性をみる前向き臨床試験が複数進行中である。
1) Kobayashi Y, et al:Ann Oncol. 2015;26(1): 156-61.
2) Sawabata N, et al:J Thorac Oncol. 2011;6(7): 1229-35.
3) Asamura H, et al:J Thorac Cardiovasc Surg. 2013; 146(1):24-30.