二次性僧帽弁閉鎖不全症は,弁尖・腱索に異常がなく,高度左室機能障害に乳頭筋位置異常・弁輪拡大を生じた結果,発生する僧帽弁閉鎖不全症と定義される。
二次性僧帽弁閉鎖不全症は原発性に比して,より軽度のものであっても,予後に悪影響を及ぼす。近年発表されたAHA/ACCあるいはESCの弁膜症に関するガイドラインの中では,以前,「中等度」とされていた程度の僧帽弁閉鎖不全を「重症」として取り扱う新たな分類が提唱された(文献1,2)。
僧帽弁閉鎖不全症の重症度診断にあたって,二次性と原発性では異なる心エコー図検査の基準値が採用されている。診断にあたっては,まず何より,僧帽弁複合体の解剖学的な評価を行い,原発性と二次性との鑑別を行うことが必要である。二次性僧帽弁閉鎖不全症であれば,定量的指標として有効逆流弁口面積0.2cm2,逆流量30mLを超えるものを「重症」とする。これらの値は以前,「中等度」として扱われていたものである。
治療にあたっては,僧帽弁への外科治療が試みられているものの,ガイドラインに則った基礎心疾患への薬物的・非薬物的介入以外に治療法は確立されておらず,今後の重要な課題と考えられる。
1) Nishimura RA, et al:Circulation. 2014;129(23):e521-643.
2) Vahanian A, et al:Eur Heart J. 2012;33(19):2451-96.