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高齢者脳梗塞治療:最近の変遷 【急性期t-PA療法は発症後4.5時間まで考慮可】

No.4777 (2015年11月14日発行) P.51

馬原孝彦 (東京医科大学高齢総合医学准教授)

羽生春夫 (東京医科大学高齢総合医学主任教授)

登録日: 2015-11-14

最終更新日: 2016-10-26

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急性期組織プラスミノゲンアクチベーター(t-PA)療法では,t-PA使用の急性期血栓溶解療法が2005年に承認され,脳梗塞発症3時間以内の超急性期例に限るなどの厳密な適正使用指針により,良好な治療成績が示された。しかし「75歳以上は慎重投与」とされた。2012年の「適正治療指針 第2版」で,発症後4.5時間まで考慮可,「81歳以上が慎重投与」となり,高齢者例の治療実績報告が増加している。
血圧管理では,『高血圧治療ガイドライン2014』で,脳血管障害急性期では脳血流自動調節域の障害で血圧低下が脳血流低下となるため,積極的な降圧治療は原則として行わないと明記された。脳梗塞発症後の降圧治療対象値が,超急性期(発症24時間以内)では収縮期血圧220mmHg以上または拡張期血圧120mmHg以上,急性期(2週以内)同220/120mmHg,亜急性期(3~4週)同220/120mmHg(ただし,頸動脈または脳主幹動脈に50%以上の狭窄のない患者では収縮期血圧180
mmHg以上),と設定された。専門病院を転院または退院する時期の亜急性期(3~4週)での適切な血圧管理が求められている。
心房細動例の抗凝固療法は,加齢で心房細動は増加するため,高齢者の心原性脳塞栓症の予防が特に重要である。『心房細動治療(薬物)ガイドライン2013』で,75歳以上の非弁膜症性心房細動例では抗凝固療法が推奨され,「同等レベルの適応がある場合,新規経口抗凝固薬がワルファリンより望ましい」とされた。心不全・高血圧・糖尿病・脳梗塞/TIAの既往(CHADS2スコア)のいずれかを有する場合は抗凝固療法が強く推奨される。

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