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大学病院の治験(臨床試験)促進をめざして:昭和大学の場合 【日本発の医薬品創出や医療界の人材育成に貢献】

No.4782 (2015年12月19日発行) P.56

小林真一 (昭和大学臨床薬理研究所所長)

三邉武彦 (昭和大学臨床薬理学講師)

登録日: 2015-12-19

最終更新日: 2016-10-26

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昭和大学は医学部,薬学部,歯学部,保健医療学部の4学部と8つの附属病院(3200床)を有する医系総合大学である。2011年に第1相・臨床薬理試験を実施できる臨床薬理研究センター(研究用ベッド44床,14年より臨床薬理研究所)を開所した。12年からは大学病院の臨床試験支援センター,ほかの附属病院の支援室が連携して8病院治験支援合同会議を定期的に開催している。
現在,次の3つの目標を挙げている。(1)早期探索的臨床試験〔第1相試験から早期第2相(POC)試験〕をシームレスに実施,(2)附属病院の各診療科の特長を生かした患者対象PK/PD試験の実施,(3)同一プロトコルの第2/3相試験を8病院が協力してより多くの症例数で実施する。これらの目標を達成するための整備として,8病院の規程,費用等の統一,共同IRBの運用を行っている。
現在,特に力を入れている事項のひとつは契約前の正確な症例数の把握,もう1つは特殊疾患患者でのPK/PD試験の実施である。症例数の把握は契約前に秘密保持契約を締結し,疾患名ベースではなく,プロトコルベースの正確な症例数を8病院で短時間で調査している。また,患者対象PK/PD試験は各病院各部署との密な連携をとりながら数例単位で実施し,実績を積んでいる。
これら昭和大学での治験促進策は,わが国のほかの医系大学でも実施可能である。また,このことはわが国から優れた医薬品が世界に創出され,さらには医系大学が医療,人材育成に貢献できる重要な事項のひとつと確信している。

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