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胸腔ドレナージ今昔  【電動式低圧持続吸引システムは肺切除後の胸腔ドレナージ管理に有用】

No.4792 (2016年02月27日発行) P.52

手塚憲志 (自治医科大学呼吸器外科准教授)

遠藤俊輔 (自治医科大学呼吸器外科主任教授)

登録日: 2016-02-27

最終更新日: 2016-10-26

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胸腔内圧は胸郭や横隔膜を動かすことで,-5~-15cmH2Oの間で変動し,肺を虚脱させることなく呼吸している。気胸や胸膜炎を発症したときには胸腔内圧が陽圧に傾き,肺は虚脱し,再膨脹させるには胸腔ドレナージが必要となる。胸腔内を陰圧にするには,胸腔ドレーンから連結した管を水に浸す方法(水封)や,ハイムリッヒバルブなどの逆流防止弁に付ける方法がある。いずれも動力は不要で,呼気時に排気しながら胸腔内を陰圧に傾かせる方法である。しかしこれらの方法では,気漏量が多いときなどに肺の拡張が得がたく,これらのシステムに低圧(-5~-15cmH2O)吸引システムを連結させ,肺の拡張を図ることもある。
肺癌などで肺葉切除を行った後の胸腔ドレナージも前述の方法で行う。気胸や膿胸に対する胸腔ドレナージと異なり,残存肺が十分に膨脹しても胸腔内に死腔ができ,胸腔内が吸気時に過度の陰圧にさらされるため,残存肺から気漏が続くことも多い。近年,肺気腫や間質性肺炎を有する肺癌手術で,気腫や線維化した残存肺からの肺瘻に対する胸腔ドレナージ管理が重要なポイントである。
新たに開発された電動式低圧持続吸引システム(トパーズTM)は,過陰圧時にフィルターを通して自動で送気することによって胸腔内圧をほぼ一定に設定できるもので,気漏量も経時的にデジタル表示することが可能であり,死腔の大きな肺切除後の胸腔ドレナージ管理に有用である(文献1)。

【文献】


1) Rathinam S, et al:J Cardiothorac Surg. 2011;6:59.

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