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外来森田療法 【ニーズの変化により,入院生活の中での症状に対する「不問」の技法に加えて,日記を用いた対話型の技法へ】

No.4811 (2016年07月09日発行) P.50

片桐直之 (東邦大学精神神経医学)

水野雅文 (東邦大学精神神経医学教授)

登録日: 2016-07-09

最終更新日: 2016-10-29

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森田療法は森田正馬(1874~1938)によりつくられた日本生まれの精神療法である。
慢性的な不安や恐怖の裏側には,よりよく生きたいと願う生の欲望がある。そうした現実を「あるがまま」に受け止め,生きる姿勢を体得するため,森田療法では,まず終日個室で横臥を続ける絶対臥褥を7日間,その後軽作業期,作業期を経て社会復帰をめざす。古典的には入院治療により行われたが,近年のニーズの変化に応える形で1990年代からは外来治療が中心となり,定期的な面接や日記療法などを通し,神経症や慢性うつを対象として活用されるようになっている。
症状や不安と付き合いつつ,本来の欲求や目的に即した行動がとれるよう援助する上で,入院生活の中での症状に対する「不問」の技法に加えて,日記を用いた対話型の技法へと変化する中で,様々な検討と工夫が加えられている。
治療のポイントは,症状は所詮うつろいゆくもので可変動するものであること,を実感・体験し,コントロールすることを断念し,現実の自己をあるがままに受け入れることである。理論や思想ではなく,体験こそが大事であることに変わりはない。
外来治療は,1週間に1回か2週間に1回の面接により行われる。多くの場合は日記での治療を併用する。面接や日記のコメントの中で,症状との付き合い方について,また,不安を抱きながらでも行動の範囲を広げるように指導が行われる。
近年,森田療法は,英国,豪州,カナダ,中国などで認知行動療法などとともに注目され,国際学会も盛んになってきている。

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