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新しい創傷治療:多血小板血漿を用いた難治性皮膚潰瘍の治療 【糖尿病性潰瘍や褥瘡などの難治性皮膚潰瘍治療に有効】

No.4814 (2016年07月30日発行) P.58

山下明子 (金沢医科大学形成外科講師)

登録日: 2016-07-30

最終更新日: 2016-10-30

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多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)を用いた難治性皮膚潰瘍治療とは,患者自身の末梢血を遠心分離して作製した血小板濃縮液を,皮膚潰瘍部位に適用して組織再生を促す再生医療である。血小板には血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor:PDGF),血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)などの成長因子が豊富に含まれており,血管新生,肉芽組織の増生や上皮化促進に作用する(文献1)。
治療の対象となる皮膚潰瘍は,外用薬や創傷被覆材などによる治療が奏効しない難治性皮膚潰瘍で,手術治療が困難な場合や,患者自身が手術を希望しない場合などである。実際には,糖尿病,閉塞性動脈硬化症,膠原病患者に発生する足部などの潰瘍,脊髄損傷による四肢麻痺患者や寝たきりの患者に発生する褥瘡などが対象となる。
PRPを用いた難治性皮膚潰瘍治療は,2011年9月から先進医療として国の承認を得て,金沢医科大学など一部の医療機関で臨床応用が開始されている。また,14年からは,PRPが再生医療等安全性確保法による規制の対象となったため,治療を行うためには所定の手続きが必要となった。
PRPの至適濃縮率や調製方法に関して,いまだ明確な基準がないという問題はあるものの,急性創傷,糖尿病性潰瘍や褥瘡などに対する有効性が報告されており,低侵襲である点,安全性が高い点,繰り返し施行できる点など,利点も多い。

【文献】


1) 楠本健司:医のあゆみ. 2011;237(1):141-5.

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