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突発性難聴についてのupdates 【新たな診断基準案により,「高度」な感音難聴でなくとも基準に合致】

No.4818 (2016年08月27日発行) P.52

伊藤 健 (帝京大学耳鼻咽喉科教授)

登録日: 2016-08-27

最終更新日: 2016-11-04

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急性発症した(主に高度)感音難聴(内耳または神経の病変)の中で,原因が特定できないものを突発性難聴と称する。急性感音難聴の多くが原因診断に至らず,この病名となる。通常一側発症で,数日かけて進行することもある。

診断:新たな診断基準案で「オージオグラムの隣り合う3周波数において各30dB以上の難聴が72時間以内に生じたもの」と明確化された。これにより,必ずしも「高度」でなくとも基準に合致するようになった。

推定病因:従前より,血流障害(内耳梗塞)やウイルス感染の関与が示唆されているが,最近になって確定診断に至らない外リンパ瘻(内耳窓破綻による外リンパ漏出)の関与も注目されている。

治療:発症2週以内で,なるべく早期に開始するほど効果が高いとされ,わが国においては副腎皮質ステロイドの全身投与がスタンダードとなっている。ほかの薬剤としては,ビタミン剤(B12など)・代謝賦活薬(ATPなど)・循環改善薬などが使用される。また,星状神経節ブロック・高気圧酸素療法なども行われている。これらに加え,近年,薬物の投与経路として,鼓膜に針を刺して鼓室内に局所投与する手法が注目されはじめた。

エビデンス:EBMが叫ばれる近年,本疾患についても求められはじめているが,現時点でどの治療法にも明らかな有効性は証明されていない。一方,各治療法には合併症の可能性があるため,現在スタンダードな治療についても今後,考え方が変わる可能性がある。

【解説】

伊藤 健 帝京大学耳鼻咽喉科教授

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