【Q】
パニック障害ではベンゾジアゼピン(benzodiazepine:BZ)系抗不安薬(BZD)と選択的セロトニン再取込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)が治療に使われますが,どちらを最初に使うべきか悩むことがあります。前者には依存性,認知機能への悪影響などの問題点がありますが,比較的速効性です。一方,後者は依存性はありませんが,遅効性で,中止後症候群,性機能障害,activationあるいは躁転などの有害事象を起こします。パニック障害の第一選択薬の実際的な選び方について,最新の考え方を教えて頂けませんでしょうか。岐阜大学・塩入俊樹先生にお願いします。【A】
先生のご指摘通り,パニック症〔パニック障害:panic disorder(PD)〕に有効な薬物は,大別してSSRIと高力価のBZDの2つです。そして現時点での第一選択薬となると,やはり前者,つまりSSRIが国際的にも最もコンセンサスが得られています。この理由は,1980年代後半から欧米ではBZDの長期使用による耐性・依存が問題視されてきたからです。しかしご指摘の通り,SSRIは効果発現が遅く,投与初期のアクチベーション症候群や性機能障害,中止後症候群といった有害事象があり,といってBZDでは上記のデメリットがありますから,実臨床で悩まれている先生も多いはずです。