厚生労働省は10月31日に開催した「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」で、関係団体からヒアリングを実施した。日本精神科病院協会の松田ひろし副会長は「十分に人権擁護に配慮した措置解除後のフォローアップ体制の充実を含め制度の見直しが早急に必要」と指摘。その上で、今回の事件は「医療モデルではなくあくまで司法モデルとして取り扱われるべきではないか」との認識を示した。
松田氏は今回の事件を考えるポイントとして、2005年に施行された「医療観察法」(用語解説)の対象が原則治療可能な精神障害者とされている点を指摘。その結果、「より重度な治療可能性のない精神障害者の治療が措置入院という形で民間精神科病院に委ねられている」とし、措置入院制度の見直しとともに、医療と司法がそれぞれ取り扱う範囲について抜本的検討を行うべきと訴えた。
このほか障害者団体は、今回の事件と容疑者の措置入院歴や精神障害との因果関係が不明であると強調。措置入院の見直しと犯罪対策は別途検討することが必要とし、再発防止策を精神医療の枠組みに組み込むことのないよう強く要望した。