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筋萎縮性側索硬化症(ALS)の新規脊髄保護療法【2015年,ALS進行抑制薬としてエダラボンが認可。効果の高さに世界も注目】

No.4829 (2016年11月12日発行) P.49

太田康之 (岡山大学脳神経内科講師)

登録日: 2016-11-08

最終更新日: 2016-11-08

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筋萎縮性側索硬化症(ALS)は中年期以降に,選択的に運動ニューロンが変性するため,四肢筋力低下と筋萎縮,構音障害と嚥下障害が出現し,やがて呼吸筋麻痺による呼吸不全が進行し,通常,発症3~5年で死亡する神経難病である。ALSのほとんどが孤発性であるが,家族性ALSの原因遺伝子として,1993年にSOD1遺伝子変異が発見され,SOD1の特性からフリーラジカル障害がALSの病態に深く関わることが判明した。現在,ALSの根本的な治療法はなく,世界中で新規治療薬の開発が行われている。

ALSの治療薬としては,グルタミン酸作用抑制効果のあるリルゾールがALS進行抑制効果を有するため,世界中で広く使用されている。またALSの病態にフリーラジカルが関与していることより,フリーラジカル除去薬で急性期脳梗塞の脳保護薬として認可されていたエダラボン治療が,ALS患者への臨床第2相試験として行われ,進行抑制効果と,髄液中の酸化ストレス軽減効果を認めた1)

そこで,2006年4月より,わが国ではALS患者に対して臨床第3相試験が行われ,60mg/日のエダラボン投与によりALS進行抑制効果を認めたことから2),15年6月にエダラボンがALSの進行抑制効果を示す治療薬として,世界で初めて認可された。現在は世界中でもALSに対するエダラボン治療の認可が進んでおり,その効果が非常に注目されている。

【文献】

1) Yoshino H, et al:Amyotroph Lateral Scler. 2006;7 (4):241-5.

2) Abe K, et al:Amyotroph Lateral Scler Fronto­temporal Degener. 2014;15(7-8):610-7.

【解説】

太田康之 岡山大学脳神経内科講師

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