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依願退職届けが受理されないが,どうすべきか?

No.4829 (2016年11月12日発行) P.62

斉藤 豊 (東京中央法律事務所弁護士)

登録日: 2016-11-09

最終更新日: 2016-11-08

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  • 依願退職届けを提出したが,引き留められていつまでも受理されず,困っています。このような場合,憲法の職業選択の自由を盾に,受理を強く迫ってもよいのでしょうか。労働法ではどうなっていますか。

    (質問者:岐阜県 M)


    【回答】

    質問者が,大学,医療施設その他の事業所と雇用契約を結んで稼働している立場にあるという前提でお答えします。

    雇用契約(労働契約とも言います)の重要な条件として契約期間(雇用期間)の定めの有無があり,期間の定めがある契約かそうでないかによってご質問への答えも異なります。前者は,一般に定年(がある場合はその年齢に達する)まで勤め続けることができる契約で,後者は,非常勤,嘱託といった形態が多いと思われますが,あらかじめ勤務の期間が限定されるものを言います。

    雇用契約も契約の一種なので,職を辞するのも,使用者と話し合って合意で契約を解消する場合と,一方的に辞める(雇用契約を解約する)場合があります。使用者からする雇用契約の解約は解雇と言われ,様々な法的制約に服します。

    期間の定めにかかわらず,依願退職(退職を願い出て許可を得ること)する場合は,労働者の側からの退職の申し出と使用者による同意があれば成立するので,期間の定めの有無は関係がありません。しかし,労働者の意思だけで一方的に雇用契約を解約できるかどうかは,期間の定めの有無によって法律の規制が異なります。

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