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(7)[診療所・病院別]改定のインパクトと経営戦略:2016年度診療報酬改定のインパクト総括 [特集:はやわかり!2016 診療報酬改定 主要改定項目と改定影響シミュレーション]

No.4801 (2016年04月30日発行) P.26

小松大介 (メディヴァ コンサルティング事業部長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-26

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  • 2025年モデルの完成に向けた2016年度改定の狙い

    国は、2025年モデルの完成を目指して着々と準備を進めており、今回の診療報酬改定でもこの流れが促進されることとなった。改定の詳細は後述するとして、まず国の持つ問題意識は次のような内容だと考えられる。
    2025年に向けてすべての団塊世代が後期高齢者(75歳以上)の仲間入りをする。75歳以上になると、統計的に入院受療率、要介護認定率、認知症有病率といった指標が65歳とは比べものにならないほど高くなる。また、並行して人間の寿命も近づいてくるため亡くなる方が増えるが、病床数が削減傾向にある以上、病院だけでなくその亡くなる場所として自宅や施設も加えざるを得なくなる背景がある。
    こうした医療ニーズが増え、死亡場所の不足が見込まれる一方、医療費の財源である健康保険料(⇒用語解説)を支払っている生産年齢人口は減少の一途を辿っており、国民皆保険制度を維持するためにはさらに効率的な医療費のあり方を検討する必要性に迫られている。
    このような制度上の問題意識を持つ中で、国は診療報酬によって、病院の機能分化・連携の促進や、質の高い医療の追求、平均在院日数の短縮をはじめとする効率的な医療の提供、また入院期間短縮と在宅看取りを拡充するための地域包括ケアの促進といった狙いを実現することを目指している。

    用語解説
    大企業の健康保険組合で構成する健康保険組合連合会の赤字組合は全組合の6割を超える(2016年度)。平均保険料率は 9.103%で前年度比0.081ポイント増

    18年度の同時改定への準備期間に

    さて、そうした背景と狙いを持っていながらも、2016年度の診療報酬改定は、全体改定率▲0.84%(診療報酬本体+0.49%、薬価▲1.22%、材料等▲0.11%)とマイナス改定ではあるが、診療報酬本体はプラス改定となり、医療機関にとっては一息つける改定となった。
    また報酬の内容的にも、7対1病床の要件厳格化や地域包括ケア病棟の新設、地域包括診療料の新設、同一建物訪問診療の大幅減算といった、大きなトピックが並んだ前回2014年度改定に比べ、小粒な印象を受ける内容となった。一見すると、2025年モデル完成に向けて、効率化の手綱を緩めたような少しのんびりした改定に感じられる。
    しかし、今回の改定をよく読み解くと、本体プラス改定という表向きの印象と異なり、2025年モデルを構築するためのさまざまな意図が垣間見え、医療機関にとっては2018年度の診療・介護報酬同時改定に向けた重要な準備期間として位置づけなくてはならないことがよくわかる内容となっている。
    以下、具体的なテーマを基に2016年度診療報酬改定の全体像を追っていきたい。

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