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パーキンソン病(PD)とレビー小体型認知症(DLB)の相違点 【DLBのほうが運動障害が軽く,発症早期から前頭葉機能が低下しており,うつ傾向が顕著】

No.4833 (2016年12月10日発行) P.51

武本麻美 (岡山大学脳神経内科)

登録日: 2016-12-06

最終更新日: 2016-12-01

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認知症を合併したパーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)はParkinson disease with dementia(PDD)と呼ばれ,PD患者の臨床例で約30%(剖検例では約55%)を占めている1)。一方,レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)はパーキンソン症状を伴う認知症で,発症早期に幻視を訴えることが多く,運動障害はPDD患者に比べ軽く,振戦より筋強剛が目立つ。認知機能は,DLB患者のほうがPDD患者より前頭葉機能検査(frontal assessment battery:FAB)のスコアが低く,発症早期から前頭葉機能が低下していることが示唆される。

情動機能では,DLB患者のほうがPDD患者より高齢者用うつ尺度(Geriatric Depression Scale:GDS),阿部式BPSDスコア(Abe’s BPSD Score:ABS)2)が高く,うつ傾向が顕著である。ABSは外来で短時間に施行できるスコアであり,「徘徊,異常行動,幻覚妄想」の配点が高いという特徴を,発症早期での両疾患の鑑別に活かすことができる。DLB患者は脳血流SPECTにおける後頭葉の血流低下が特徴であるが,その感度は約50~60%台,特異度は80~90%台であり,病歴や診察所見,認知機能,情動機能を総合的に評価し,両疾患を鑑別しなくてはならない。

【文献】

1) 小阪憲司:昭和医会誌. 2003;63(4):347-52.

2) Abe K, et al:J Neurol Sci. 2015;350(1-2):14-7.

【解説】

武本麻美 岡山大学脳神経内科

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