株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【人】松本俊彦さん「 薬物依存症は慢性疾患。罰では治らない 」

No.4833 (2016年12月10日発行) P.13

松本俊彦 (国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部部長)

登録日: 2016-12-06

最終更新日: 2016-12-05

  • コーナー:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 松本俊彦さん(Matsumoto Toshihiko)

    国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部部長

    1967年神奈川県生まれ。93年佐賀医大卒。国立横浜病院精神科、神奈川県立精神医療センター、横浜市大附属病院精神科などを経て、2015年より現職。日本アルコール・アディクション医学会理事、日本精神科救急学会理事

    「 薬物依存症は慢性疾患。 罰では治らない 」

    日本の薬物依存症治療を牽引する。2006年に立ち上げた認知行動療法による薬物依存症治療プログラム「SMARPP(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program)」は、今年4月から医療保険の適用となり、現在は23の医療機関、30の行政機関で活用されている。

    SMARPPは1クール週1回全24回のグループセッションで支持的介入を行う。常に来院を歓迎し、再使用を申し出ても秘密を保持。無断欠席した場合には「参加を待っている」などと伝え、積極的にコンタクトをとる。こうした方針をとるのは、薬物依存症の予後を左右するのが「治療の継続性」であるため。仮に断薬できなくても、治療継続率が高いほど健康被害や社会経済的損失が少ない。厚労科学研究による検証の結果、SMARPPは治療継続率を高めることが明らかになった。

    「薬物依存症は慢性疾患です。罰では治らないですし、治療効果は貯金ができない。地域で治療を続けることが必要です」。しかし薬物依存症の医療資源は不足し、専門医は全国で10人ほどしかいない。そのため、専門医に頼らず実施できる簡易な治療プログラムSMARPPを開発した。

    残り484文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top