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2018年度同時改定に向けた議論がスタート ―医療・介護連携が重要も厚労省は財源の厳しさを示唆 【中医協】

登録日: 2016-12-16

最終更新日: 2016-12-16

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介護報酬改定との同時改定となる次期2018年度診療報酬改定に向けた議論がスタートした。厚生労働省は14日の中央社会保険医療協議会(田辺国昭会長)に次期改定に向けた現状と課題を提示。医療と介護を取り巻く基本的事項についての認識を共有した上で、具体的な検討に着手することが必要とした。

■迫井課長「事実を直視した上で検討を」

厚労省が「現状と課題」として指摘したのは、①少子高齢社会、②医療の高度化、③社会保障にかかる財政状況―の3点。14日の会合では、診療側委員が改定に向けた検討を行う前提に、③の財政状況を盛り込むことについて違和感を示した。中川俊男委員(日本医師会)は、「一般歳入の約55%は社会保障関係費で増加傾向」「歳出が歳入を上回る状況、国債残高の累積、支え手の減少」との表記に対し、「あたかも社会保障費の増加によって1000兆円を超える国債残高が累積したかのような書きぶりで、歴史的経緯と異なる」と指摘。その上で、「これでは最初から改定財源が厳しいと言っているようなもの。厚労省としては政府の目指す2020年の基礎的財政収支の黒字化は無理だと主張するなど、むしろ全力で財源を確保する姿勢を示すべきではないか」と訴えた。

これを受け、厚労省保険局の迫井正深医療課長は、「あくまで事実として記載した。受け取り方は異なるが、こうした事実を直視した上で、医療・介護の提供体制をどう構築していくかを検討していく必要がある」との考えを示した。一方、万代恭嗣委員(日本病院会)は、「医療提供体制は財政の影響を無視することはできないが、従属するものでもないということは強調したい」と述べた。

■ 医療と介護の連携、棲み分けが論点

 このほか、次期改定は診療報酬・介護報酬の同時改定となるため、厚労省は 今後の検討項目に医療と介護の連携が特に重要と考えられる、①療養病床・施設系サービスにおける医療、②居宅などにおける医療(訪問診療・訪問看護、歯科訪問診療、薬剤師の業務など)、③維持期のリハビリテーション―の3点を含めることを提案。介護療養病床の新施設体系への移行や維持期リハの経過措置の廃止など、医療保険と介護保険でそれぞれカバーする範囲の棲み分けが論点となる。また、①には「療養病棟の入院患者像を踏まえた評価」が盛り込まれ、医療区分やADL区分についての見直しが議論されることになりそうだ。

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