日本脳卒中学会(鈴木則宏理事長、写真)と日本循環器学会(小室一成代表理事、写真)は16日、脳卒中と循環器病による年齢調整死亡率を5年間で5%減少させる目標を盛り込んだ『脳卒中と循環器病克服5カ年計画』を発表した。計画は5年ごとに見直し、健康寿命の延伸を通じて将来的な医療費抑制を目指す。
脳卒中・循環器病分野では、新規治療薬開発や急性期対応に主眼が置かれる傾向にあったが、計画では、回復期、維持期の重要性も強調。目標実現に向けて必要となる人材に関しては、高齢の脳卒中・循環器病患者に対する在宅ニーズの急増を見込み、在宅医療をリードする人材や、多職種連携の核となる人材を育成すべきと指摘。臨床研究の場では、研究倫理や臨床倫理に精通し、臨床医の立場から研究を先導する専門家も「強く求められている」としている。
脳卒中・循環器病の全国登録システムの確立も目指す。医療提供については、24時間365日体制で救急患者を受け入れる初期対応施設から、回復期病院、地域での介護に至るまでを、一貫した多職種チームで治療管理できる体制整備を目指し、5年間で現状の可視化に取り組む。
目標実現には、新たに法整備が必要となる部分もある。両学会は脳卒中・循環器病対策の「基本法」制定を国会議員に求めているが、実現には至っていない。循環器学会の小室代表理事は「計画は、基本法成立に向けて我々は準備万端だという“所信表明”」と述べ、法制定の動きの加速に期待を示した。