血清IgG4高値とIgG4陽性形質細胞の浸潤,線維化を特徴とする慢性疾患である
膵と涙腺・唾液腺を二大好発臓器とする
グルココルチコイドが奏効する
自己免疫性膵炎における高IgG4血症の発見が疾患概念確立に大きく寄与した
Sjögren症候群の亜型とされてきたMikulicz病はIgG4関連疾患の涙腺・唾液腺病変である
適切な診断で不要な外科治療や侵襲的な処置を回避できる
IgG4関連疾患(IgG4-related disease;IgG4-RD)とは血清IgG4高値と, IgG4陽性形質細胞の浸潤,線維化を主体とした腫瘤性・肥厚性病変を呈する慢性疾患である。2000年初頭の自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis;AIP)とIgG4の関連性の報告を契機に,わが国において解明が進んだ新たな疾患概念であり,従来,個別の疾患として扱われていたAIPとMikulicz病(Mikulicz’s disease;MD)を二大病変として,共通した臨床的・病理組織学的特徴を有する多彩な臓器病変から構成される全身性疾患である(表1)1)。
わが国での推定患者数はAIP約3000人(2007年),MD約1100人(2010年)とされていたが,認知度の上昇とともに報告数は著しく増加している。IgG4関連疾患の発症年齢は60歳代にピークがあり,男女比はMDを除くと明らかに男性に多いが,MDではやや女性に多い傾向がある。グルココルチコイド(GC)への反応が良好で,罹患臓器の機能が比較的長期間保持されていることから,予後は良好と考えられるが,長期予後は不明である。
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