1 過敏性肺炎とは? ─アレルギーによる発症と予後不良な線維性タイプ
過敏性肺炎(hypersensitivity pneumonitis:HP)は,アレルギー性の間質性肺炎である。羽毛布団,家のカビ,加湿器が原因で発症する。急性過敏性肺炎は炎症が主体の肉芽腫性間質性肺炎であるが,抗原を吸い続けると慢性線維性の間質性肺炎となる。線維性過敏性肺炎の予後は不良で,蜂巣肺を伴う場合の5年生存率は20~30%である。
2 どのようなときに疑い,どのように診断するか?
呼吸器症状,全身症状や検査所見(肺活量,6分間歩行試験やKL-6など)が変動し,特にこれらの症状・所見の変動が季節性である場合,特定の場所や職場で悪化する場合などは本疾患を疑う。曝露評価,画像所見,気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid:BAL)および病理所見によって診断する。特に,曝露評価で原因となる抗原を見つけ出すことが診断の最重要ポイントである。
3 室内環境と過敏性肺炎─加湿器とカビ
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)蔓延下での在宅時間の増加が指摘され,気密性の高い住宅環境での室内の細菌や真菌のバランスの変化も未知数である。室内環境に関連して,加湿器肺と室内のカビが原因の夏型過敏性肺炎が最近,増加している。
4 羽毛で起きる過敏性肺炎
身近にある羽毛布団やダウンジャケットによるアレルギー性の間質性肺炎は,鳥関連過敏性肺炎という疾患にあたる。慢性(線維性)過敏性肺炎の中で最も多い疾患である。鳥の飼育はもちろん,羽毛布団・ダウンベスト・羽毛のソファ・羽毛のはたきの使用,鳥の剝製の所持,鳥のフンでも発症する。
5 患者への生活指導,専門医に相談するタイミング,治療
一般臨床医としてこうした過敏性肺炎患者への生活指導,また専門医へ紹介するタイミングは重要である。治療は,抗原から離れる「抗原回避」であるが,日々の注意が必要であり,患者への生活指導が重要である。薬物治療はステロイド・免疫抑制薬に加え,近年,保険適用になった抗線維化薬がある。