株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

IgG4関連眼疾患について

No.5180 (2023年08月05日発行) P.46

神前あい (オリンピア眼科病院)

臼井嘉彦 (東京医科大学臨床医学系眼科学分野准教授)

登録日: 2023-08-04

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • IgG4関連眼疾患(IgG4-related ophthalmic disease:IgG4-ROD)は,高頻度にみられる涙腺腫大の症例から外眼筋肥大による複視や視神経周囲の病変による視力低下など様々な病変がみられます。また,ステロイドの著効例から再燃例まで治療の感受性も様々です。
    IgG4-RODの臨床について,東京医科大学・臼井嘉彦先生のご解説をお願いします。

    【質問者】神前あい オリンピア眼科病院


    【回答】

     【IgG4関連眼疾患はIgG4関連疾患による眼病変を含めた包括的名称であり,視機能および整容に大きく影響する疾患である】

    IgG4-RODは,IgG4関連疾患(IgG4 related disease:IgG4-RD)による眼病変を含めた包括的名称であり,涙腺を含めた眼窩内や眼瞼,外眼筋,眼窩内神経(三叉神経の分枝),涙道など,眼球周囲に様々な病変が生じます。IgG4は血液中の免疫グロブリンの5%以下を占めますが,血清で高値を示し,全身の諸臓器にIgG4陽性細胞浸潤と線維化が特徴です。その病態は免疫異常ですが,遺伝子異常,自己免疫,環境因子,生活環境や感染などの様々な要因も寄与しています。

    ミクリッツ顔貌あるいは土偶顔貌とも称される,両側・対称性の特徴的な涙腺腫脹がよくみられます。眼科医として注意すべきは,整容の問題だけでなく,視機能障害を起こすこともあることです。涙腺病変がある場合はドライアイを引き起こす症例も多く,角膜上皮障害による視機能障害や,外眼筋の病変や眼窩内の占拠性病変がもたらす眼球運動障害に起因する複視や視神経周囲の病変による視神経症が問題となります。特に視神経症は発症頻度が少ないものの,不可逆性の視力低下や視野障害を起こすことがあります。

    残り629文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top