過敏性肺炎は,抗原の反復吸入後のⅢ型・Ⅳ型アレルギー反応により胞隔や細気管支に病変を形成する間質性肺炎であり,アレルギー性炎症の遷延によりTh1からTh2への移行を伴う肺線維化をきたす。従来は急性過敏性肺炎と慢性過敏性肺炎に分類されたが,近年出版された国際ガイドラインでは,非線維性過敏性肺炎と線維性過敏性肺炎に分類されている1)2)。原因抗原による個別の疾患名があり,わが国における代表的な過敏性肺炎として夏型過敏性肺炎,鳥関連過敏性肺炎,住居関連過敏性肺炎,農夫肺,塗装工肺,加湿器肺,きのこ栽培者肺がある3)。
「2020ATS/JRS/ALATガイドライン」では曝露評価と胸部高分解能CT(HRCT)が重視されており,BAL液リンパ球増多と病理所見を参考にMDD(多職種合議)診断で確信度を決定する1)。診断のポイントは抗原曝露による増悪と抗原回避による改善であり,夏季に増悪する夏型過敏性肺炎,冬季に増悪する鳥関連過敏性肺炎や加湿器肺を念頭に,疾患の発症・増悪時の季節にも留意する。
治療の基本は抗原回避であり,そのためには原因抗原の特定が重要である。しかしながら日常臨床においては特定が困難な場合も多く,原因抗原不明例は予後が不良とされている。抗原回避のみでは改善が不十分な例,あるいは進行例に薬物療法を行う。
薬物療法はステロイド経口薬を基本とするが,重症例ではステロイドパルス療法後にステロイド経口薬を維持し,効果が不十分な場合は免疫抑制薬(保険適用外)を併用する。また,進行性線維化例では抗線維化薬を使用する。
>WEBコンテンツ「一般臨床医が知っておくべき過敏性肺炎」
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