株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

過敏性肺炎[私の治療]

No.5224 (2024年06月08日発行) P.43

稲瀬直彦 (国家公務員共済組合連合会平塚共済病院院長)

登録日: 2024-06-05

最終更新日: 2024-06-04

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 過敏性肺炎は,抗原の反復吸入後のⅢ型・Ⅳ型アレルギー反応により胞隔や細気管支に病変を形成する間質性肺炎であり,アレルギー性炎症の遷延によりTh1からTh2への移行を伴う肺線維化をきたす。従来は急性過敏性肺炎と慢性過敏性肺炎に分類されたが,近年出版された国際ガイドラインでは,非線維性過敏性肺炎と線維性過敏性肺炎に分類されている1)2)。原因抗原による個別の疾患名があり,わが国における代表的な過敏性肺炎として夏型過敏性肺炎,鳥関連過敏性肺炎,住居関連過敏性肺炎,農夫肺,塗装工肺,加湿器肺,きのこ栽培者肺がある3)

    ▶診断のポイント

    「2020ATS/JRS/ALATガイドライン」では曝露評価と胸部高分解能CT(HRCT)が重視されており,BAL液リンパ球増多と病理所見を参考にMDD(多職種合議)診断で確信度を決定する1)。診断のポイントは抗原曝露による増悪と抗原回避による改善であり,夏季に増悪する夏型過敏性肺炎,冬季に増悪する鳥関連過敏性肺炎や加湿器肺を念頭に,疾患の発症・増悪時の季節にも留意する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療の基本は抗原回避であり,そのためには原因抗原の特定が重要である。しかしながら日常臨床においては特定が困難な場合も多く,原因抗原不明例は予後が不良とされている。抗原回避のみでは改善が不十分な例,あるいは進行例に薬物療法を行う。

    薬物療法はステロイド経口薬を基本とするが,重症例ではステロイドパルス療法後にステロイド経口薬を維持し,効果が不十分な場合は免疫抑制薬(保険適用外)を併用する。また,進行性線維化例では抗線維化薬を使用する。

    >WEBコンテンツ「一般臨床医が知っておくべき過敏性肺炎

    残り1,280文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top