【質問者】中島 啓 亀田総合病院呼吸器内科部長 大阪公立大学大学院医学研究科公衆衛生学
【1つの薬剤に固執せず,「最適解」に近づくように4カ月程度で効果判定を行う】
重症喘息における生物学的製剤の使いわけに関しては,2023年10月時点では「これが確実に正解」というものはなく,個々の患者に応じて「最適解」を考えて使用していくということになります。ただ,ケースバイケースとなると実際の臨床現場では困るため,「最適解」にたどりつくための解法はあると考えています。
まず,重症喘息を考える上で目の前の患者が本当に喘息であり,かつ重症喘息であるか否かの診断はきわめて重要です。というのも,喘息の診断は肺がんなどの悪性腫瘍とは異なり,病理などによる確定診断がないためです。つまり「喘息らしさ」をみつけ,疑い,かつ併存疾患の有無・コントロールなどの確認がきわめて重要です。
さて,重症喘息が確かであった場合に関しては,①併存症の有無,②タイプ2炎症バイオマーカー〔血中・喀痰中好酸球,呼気一酸化窒素濃度(FeNO),血清IgE〕を参考に使いわけを考えていくことになります。これらは日本喘息学会の「喘息診療実践ガイドライン2023」にまとめられていますので,参考にして頂くとよいと思います。
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