【質問者】
佐藤未織 国立成育医療研究センター アレルギーセンター総合アレルギー科
【乳幼児期からの水泳が気管支喘息を予防するという一貫したエビデンスはない】
気管支喘息において運動は増悪因子のひとつであり,運動後に咳嗽,呼気性喘鳴,呼吸困難などを呈する運動誘発喘息(exercise induced asthma:EIA)の原因となります。一方,小児期の成長・発達において運動は様々な利点をもたらすことが知られています。特に,水泳はランニングと比較してEIAを起こしにくいとされ,気管支喘息児の運動として水泳が推奨されてきた経緯があります1)。そのため,水泳による気管支喘息の発症予防効果についても出生コホートなどのデータを用いて検討が行われてきました。
ALSPAC Study(イギリス)からの報告では,0~7歳まで水泳を行った頻度が最も高い群と最も低い群で,7~8歳までの気管支喘息の発症頻度が比較されました2)。その結果,有意な差〔OR:0.88(95%CI 0.56─1.38)〕を認めなかったとしています。また,水泳を行った頻度におけるそれぞれの群で8歳時点でのFVC,FEV1の比較では有意な差を認めなかったものの,FEF25-75の比較では,最も高い群は高い最大中間呼気流量と関連したこと〔0.20(95%CI 0.02─0.39)〕を示しました。
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