診療科: | 内科 | アレルギー・免疫 |
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リウマチ・膠原病 |
シリーズ: | よくわかる病態生理 シリーズ |
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第1章 生体防御機構
病原体からみた生体防御機構
からだの側からみた生体防御機構
自然免疫;初期に作動する生体防御機構
獲得性応答;後期に作動する生体防御機構
第2章 膠原病・自己免疫疾患
膠原病・自己免疫疾患の概念
膠原病の発症機序
膠原病の種類と症状
膠原病の症状と検査
第3章 全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデスの合併症
抗リン脂質抗体症候群
第4章 強皮症・筋炎
強皮症
多発性筋炎・皮膚筋炎
第5章 関節リウマチ
関節リウマチの概念と成因
関節リウマチの症状・診断・治療
悪性関節リウマチ,若年性関節リウマチ,成人スチル病
第6章 血管炎など
混合性結合組織病
血管炎症候群
シェーグレン症候群
ベーチェット病
川崎病
第7章 アレルギー
アレルギーの発症機序と分類
アレルギー性鼻炎
喘息
蕁麻疹・食物アレルギー
アナフィラキシー
薬物アレルギー
第8章 免疫不全
先天性免疫不全
後天性免疫不全
編集にあたって
知ることは人生の喜びである。特に医学はいのちを探求する学問であり、謙虚な姿勢をもって臨む限り、そこに日々新たな感動があり発見がある。
感動はしかし一個人にとどまることなく広く共有されるべきで、したがって、教科書は事実を列挙するのはもとより、感動を伝えてこれを次代へと継承しなければならない。すなわち、最先端の知識を分かりやすい形で伝える責務がある。こうした試みが本書で成功しているかは読者の批判に待たねばならないが、本書の執筆は私からみて良き臨床医であり、また良き医学の理解者であると思われる先生方に特に懇請してお引き受け頂いた。内容のよい点はひとえに執筆者の力量であるし、悪い点は編集者が反省せねばならないと考えており、読者のご批判を仰ぎたい。
面白いもので、単に紙に書かれた文字に過ぎないが、同じ内容でもそこから伝わる気配はまちまちで、私は学生時代に数学の吉田洋一先生の著書に惹かれて読み耽ったことを思い出す。とてもさわやかな文章が数式と矛盾なく澱みなく展開されていて、文章からその先生の生きて働く姿さえ想像された。科学する姿勢を教わったように思える。
臨床医学も医学研究もいわば同じであって、事実を踏まえるだけでは無味乾燥であるが、ひ弱な現代は事実を把握する力さえないようである。しかし私達は、ゆとり教育などと駄言を弄する前に、まず徹底的に勉強して事実を習得し、その上に創造性を樹立すべきである。医師は(理系を踏まえた上での)文系であるべきで、それが患者さんとの心の交流の糧となるし、医学研究者の創造的研究は先人の確固たる業績の上に展開されてこそ意義がある。本書を通じて、よいマナーの明日の臨床医学と医学研究を読者と共に築きたいと思う。
2006年夏 膠原病学研究室にて
塩沢俊一