・ダニが原因のアレルギー性鼻炎とスギ花粉症が適応になる。
・症状に合致する感作(皮膚テストまたは血清特異的IgE陽性)を認める。
・原則として5歳以上で施行可能である。
【Q1~Q4】
・重症気管支喘息のある患者と,治療する舌下錠でショックの既往のある患者には禁忌である。
【Q5】
・まず,治療薬を処方できるようにe-ラーニング等を受講し登録する。
・舌下飲み込み法が一般的である。
・初回は医師の監督下で行い,投与後少なくとも30分間は安静な状態を保ち,十分に観察する。
【Q6】
・8~9割程度の患者に有効で,経年的に有効性が増す。
・症状のみならずQOLも改善する。
・医療経済的にも有益である。
【Q7~Q9,Q12~Q15】
・アレルギー疾患の自然経過を修飾する。
【Q10】
・多くの患者で局所副反応(口腔・咽頭の搔痒感など)を生じうる。
・好酸球性食道炎の発生に注意する。
【Q11】
・抗ヒスタミン薬の予防内服により副反応や治療脱落を抑えうる。
・投与方法や投与量を調節し,それでも副反応が持続するようなら中止も考慮する。
【Q11】
わが国においては,2014年にスギ花粉舌下液が承認され,舌下免疫療法が保険診療として施行されるようになった。その後,2015年にダニ舌下錠が,2018年にスギ花粉舌下錠が承認された。
特にスギ花粉舌下錠が2018年に小児適応を取得して以降,舌下免疫療法が導入された患者数は右肩上がりである。2023年の時点でスギ花粉舌下錠,ダニ舌下錠はともに50万人以上の患者に導入されたことが推計されている。したがって,舌下免疫療法は普及しつつあると言える。一方,政府の花粉症対策では年間100万人分の治療薬を確保するという目標が掲げられている。「耳鼻咽喉科医およびその家族を対象とした全国疫学調査(2019年)」ではスギ花粉症の有病率は39.8%,通年性アレルギー性鼻炎の有病率は24.5%であったことからも,舌下免疫療法薬の安定的な供給体制の確保などが望まれる1)。
舌下免疫療法は,スギ花粉やダニといった個々のアレルゲンに特異的な免疫寛容(長期寛解)を誘導する治療法である。したがって,症状に合致するアレルゲン検査(皮膚テスト,血液検査)に陽性を示す患者が第一に適応となる。一方,わが国で市販されている舌下免疫療法用治療抗原はダニおよびスギ花粉のみである。現状では,①ダニまたはスギ花粉が原因となる患者,②一般的な薬物療法では症状およびQOLを十分にコントロールできない患者(効果が不十分な例,副作用が強い例,アドヒアランスが不良な例など),③臨床的寛解を希望する患者,が舌下免疫療法の主な適応と考える2)。