【質問者】
西山和利 北里大学医学部神経内科学主任教授
(1)「脳卒中治療ガイドライン 2015」における脳血栓回収デバイスの位置づけ
最新版である「脳卒中治療ガイドライン 2015」では,発症から4.5時間以内の脳梗塞に対するrt-PA静注療法が,グレードA(行うよう強く勧められる)として推奨されています。
一方,近年では様々な脳血栓回収デバイスが登場し,2010年にMerci リトリーバー®が,2011年にはPenumbraシステム®がわが国でも承認され,発症から8時間以内の,rt-PA静注療法が適応外もしくは無効の脳主幹動脈閉塞患者に対し,経皮的脳血栓回収術が盛んに行われるようになりました。しかし,rt-PA静注療法に対する血管内治療(単独もしくはrt-PA静注療法に追加)の有効性を検討した3つの比較研究すべてにおいて優位性を示せなかったことが2013年に報告されたことを受け,「脳卒中治療ガイドライン 2015」でも,同療法の推奨はこれまで通り,グレードC1(行うことを考慮してもよいが,十分な科学的根拠がない)とされています。
残り974文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する