社会保障審議会介護給付費分科会は18日、介護報酬を1.14%引き上げる見直し案を了承し、社会保障審議会に報告した。今年4月に臨時の介護報酬改定を実施し、介護職員の給与引上げを図る。
2017年度改定は政府の「未来への投資を実現する経済対策」で打ち出された、介護職員の給与を月1万円程度引き上げる方針を受けたもの。従来の介護職員処遇改善加算(Ⅰ)の要件に加え、経験・資格に応じた昇給の仕組みか定期昇給を設けることを要件とする新たな区分を創設する。
改定率1.14%のうち、在宅分は0.72%で、施設分は0.42%。厚生労働省は従来の加算(Ⅰ)を算定している事務所すべてが新区分を算定すると仮定し、引上げの財源として2017年度予算で1048億円を計上している。加算の届け出のスケジュールは2015年度改定を踏襲する見込みだ。
12月28日の分科会では、厚労省が2014、15年度の介護事業経営概況調査の結果を公表した。15年度の介護サービス全体の収支差率(収入に占める利益の割合)は平均3.8%と14年度の4.9%から1.1ポイント低下した。
従来は改定後1年間のみを調査していたが、今回から改定前後の2年間に対象期間を拡大した。前回調査と比較可能な20サービスのうち、福祉用具貸与などを除く16サービスで収支差率が減少していた。この理由について厚労省は「(2.27%の引下げだった)前回の改定率が影響しているものと考える」とし、「おおむね中小企業並みになっている」との見方を示した。