CDSとはドパミン受容体への持続的刺激がPDにおける運動合併症を予防・改善しうるという理論であり,近年,CDSの実現をめざして開発された複数の非麦角系ドパミンアゴニストが日本でも使用可能となった
各ドパミンアゴニストのエビデンスや薬剤特性に応じた使いわけが可能となっている
ロチゴチン貼付薬は唯一の経皮吸収薬であり,消化器症状の強い(吸収不良のある)症例,術後などで内服が困難な症例などにも効果が期待でき,睡眠をはじめとした非運動症状に対する効果も期待できる
CDSに期待される治療効果や副作用軽減効果についてはさらなる検討が必要である
continuous dopaminergic stimulation(CDS)とは,ドパミン受容体への持続的刺激がパーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)における運動合併症を予防・改善しうるという理論を指す1)。
CDSの概念自体は新しいものではなく,1980年代にはレボドパ2)やリスリド3)の持続静脈内投与が運動合併症の改善を目的として行われており,1990年代には長い半減期を有する麦角系ドパミンアゴニストが半減期の短いレボドパよりも運動合併症の出現を遅らせるという理論的背景をもとに用いられた。
2000年代に入ると,半減期の短いアポモルフィンやlevodopa-carbidopa intestinal gelであっても,それぞれの持続皮下投与4)や胃瘻を介した腸内への持続注入5)が難治性運動合併症に有効であることが明らかとなり,単に半減期の長短ではなく,continuous drug delivery(CDD)がレボドパ誘発性ジスキネジア(levodopa-induced dyskinesia:LID)やウェアリング・オフ現象に対する有効な治療戦略になりうると考えられている。ここ数年では,徐放薬もしくは貼付薬形式によってCDDの実現を試みる非麦角系ドパミンアゴニストが日本でも日常臨床で使用可能となっている。
表1に現在日本において使用可能なドパミンアゴニストをまとめた。非麦角系ドパミンアゴニストの半減期は麦角系ドパミンアゴニストより短いものの,徐放薬もしくは貼付薬とすることによりCDDの実現をめざしている。
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