厚生労働省の患者申出療養評価会議(福井次矢座長)は6日、大阪大学医学部附属病院が1月23日に申請した「耳介後部コネクターを用いた植込み型補助人工心臓による療法」を2例目の患者申出療養として了承した。
同技術の内容は、心臓移植の基準を満たさない心不全患者に対する、植込み型補助人工心臓(LVAD)を用いたDT(Destination Therapy、長期在宅治療)と呼ばれるもの。阪大病院は高齢者に対する心臓移植を前提としない植込み型LVADの永久使用に向け、植込み後6カ月までの安全性を確認する臨床研究として申請した。療養期間は5年、登録症例数は6例を予定している。専門家による事前評価では、「従来の技術より有効であると期待される」「感染症のリスクなどはむしろ少ないと予想される」とされた。
一方、同日の会合では制度運用における課題も浮上した。石川広己委員(日本医師会)は「患者申出療養は治療困難な疾患と闘う患者の思いを起点とする仕組み。当初から目標症例数などを設定するのは制度の趣旨に反する」と問題視。「登録症例数を定めることで、医療機関が患者に患者申出療養の治療を勧めることも想定される」と懸念し、個別症例ごとに妥当性を判断すべきと主張した。これに対し、厚労省保険局の迫井正深医療課長は「個別の事例を審査するという制度設計ではない」と説明。第1例目として承認された技術についても同様の指摘があったことを踏まえ、「今後の制度運用については中医協で議論していく」との考えを示した。