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頭頸部再発転移癌に対するFP+セツキシマブ併用療法【実施コース数が多いほど,より延命効果が期待できる可能性がある】

No.4843 (2017年02月18日発行) P.55

田辺輝彦 (横浜市立大学耳鼻咽喉科・ 頭頸部外科)

折舘伸彦 (横浜市立大学耳鼻咽喉科・ 頭頸部外科教授)

登録日: 2017-02-16

最終更新日: 2017-02-14

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頭頸部癌の再発転移症例に対して,5-FU+C DDP(FP療法)にセツキシマブ(Cmab)を追加することで,生存期間が延長することが示され1),FP+Cmab併用療法は複数のガイドラインで標準治療として推奨されている。当科では頭頸部癌の再発転移症例に対して,根治治療が不可能な場合に,FP+Cmab療法を選択している。

2013年6月から16年3月の間に26例を経験した。男性25例,女性1例で導入時年齢の中央値は63歳。下咽頭癌が12例で最も多く,有害事象による中止は15例で,そのうち10例が血液毒性によるものであった。Kaplan-Meier法による生存解析では,生存期間中央値が9カ月で,1年生存率は48.2%であった。実施コース数が多いほど1年生存率が高い傾向がみられ,2コース以上(22例)で55.0%,4コース以上(7例)で85.7%の1年生存率が得られた。治療継続性についての評価のため,各薬剤のrelative dose intensity(RDI)とrelative total dose intensity(RTDI)を計算した。RDIはCDDP:60.0%,CBDCA:77.2%,Cmab:85.7%であった。またRTDIはCDDP:22.3%,CBDCA:44.0%,Cmab:33.3%であり,いずれもCDDPを用いた場合に低値となる傾向があった。

これらの結果から,FP+Cmab併用療法においては実施コース数が多い症例で,より延命効果が期待できる可能性があり,治療継続性についての評価が重要であることが示唆された。

【文献】

1) Vermorken JB, et al:N Engl J Med. 2008;359 (11):1116-27.

【解説】

田辺輝彦,折舘伸彦 横浜市立大学耳鼻咽喉科・ 頭頸部外科 教授

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