脳卒中の急性期患者の体位は、仰臥位と頭位挙上のどちらが良いのか─。両体位を比較した初めての大規模ランダム化試験「HeadPoST(Head Position in Stroke Trial)」 が、米国ヒューストンで24日まで開催中の国際脳卒中学会議で報告された。試験の結果、90日後の修正ランキン・スケール(mRS)は、体位間で差を認めなかった。オーストラリア・シドニー大学のクレイグ・アンダーソン氏が、22日のセッションで報告した。
試験の対象は、仰臥位、頭位挙上、いずれの体位でも問題のない脳卒中急性期の1万1093例。来院と同時に仰臥位群、あるいは30度頭位挙上群にランダム化し、原則24時間その姿勢を維持するよう指示した。患者背景は、NIHストロークスケール(NIHSS)中央値が4。脳卒中発症から来院までの時間は長く、中央値で14時間だった。そのため、t-PA静注は12%にしか施行されていなかった。
試験の1次評価項目である「来院90日後のmRSが2以上」(障害遺残、または死亡)の割合は、両群間に有意差を認めなかった(仰臥位群:47.7%、頭位挙上群:48.2%)。脳梗塞、脳出血に分けて検討しても同様だった。さらにこの関係は、来院時の重症度や、発症から治療開始までの経過時間の影響も受けていなかった。また、後付解析を行い、発症から治療開始まで3時間未満の例のみ比較しても、両群間に有意差はなかった。
ただし、試験からの脱落率は、仰臥位群で13%と、頭位挙上群の4%より有意に高値となっていた(p<0.0001)。アンダーソン氏は、「忍容性は、頭位挙上のほうが高そうだ」とコメントしている。