【質問者】
野原千洋子 東京都保健医療公社荏原病院神経内科 副医長
MGでは,経口ステロイドを中心とした免疫治療の普及により,死亡例,重症例は減少しましたが,長期的な完全寛解(症状がなく治療不要の状態)達成率はきわめて低いことが指摘されています1)2)。このため経口ステロイドはしばしば長期化し,生活の質(QOL)の悪化要因となっていました。
(1)症状の早期改善と良好なQOLの両立
こうした背景から,「重症筋無力症診療ガイドライン 2014」では「症状の早期改善と良好なQOL(経口ステロイドの十分な減量)の両立」が治療の基本方針となっています。具体的な治療目標としては,「MM or better status〔MG Foundation of America Postintervention statusの軽微症状(MM),薬理学的寛解,あるいは完全寛解のいずれかのカテゴリー〕にあり,かつ,プレドニゾロンの1日服用量が5mg以下である状態:MM−5 mg」が推奨されています1)2)。
(2)早期速効性治療戦略(EFT)
MM−5mgの達成率を高める治療戦略として早期速効性治療戦略(early fact-acting treatment strategy:EFT)の有効性が報告されています3)。EFTは血液浄化療法,メチルプレドニゾロン静脈内大量投与(ステロイドパルス)療法,免疫グロブリン静注療法,あるいはこれらの組み合わせ治療を治療初期から積極的に施行し,早期の症状改善と経口ステロイド投与量の抑制を両立する治療戦略です。
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