【質問者】
橋川和信 神戸大学大学院医学研究科形成外科学准教授
MMに対する啓蒙,診断技術の向上,センチネルリンパ節生検(sentinel lymph node biopsy:SLNB)の導入や,基礎研究に裏付けられた免疫療法,分子標的薬治療など,MMに対する治療は大きく前進しています。しかし,いまだに手術療法が治療の中心に位置しており,局所・所属リンパ節までの制御が重要であることに変わりはありません。皮膚癌では,病巣部から所属リンパ節の一塊切除が困難であるために,その確実な方法が確立していないのが現実です。特に,所属リンパ節の扱いに関しては,皮膚癌独自のものがなく,他領域の方法を踏襲していることが多いようです。このような観点から,私たちは,皮膚癌独自の手術手技の確立が必要であると考え,術式の開発をしてきました。
術式の開発に必要不可欠であったのは,SLNナビゲーション手術(SLN navigation surgery)です。SLN navigation surgeryの目的は症例により異なっています。すなわち,従来のSLNBを目的にしたものや,根治的リンパ節郭清をより確実にするためのものです。特に,顔面のMMでは,そのリンパ流は複雑であり,色素法,蛍光法,ラジオアイソトープ(radioisotope:RI)法を用いた3 mapping法によるSLN navigation surgeryが望ましいと考えます1)。
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