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皮膚悪性黒色腫の外科的治療における最近の進歩 【局所・所属リンパ節の制御と整容性維持を外科的治療で施行する時代へ】

No.4849 (2017年04月01日発行) P.63

橋川和信 (神戸大学大学院医学研究科形成外科学准教授)

元村尚嗣 (大阪市立大学大学院医学研究科形成外科学教授)

登録日: 2017-03-30

最終更新日: 2017-03-28

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  • 皮膚悪性黒色腫(malignant melanoma:MM)の治療成績は,診断技術の向上,化学療法や放射線治療の導入などによって,近年大きく向上しましたが,外科的治療の洗練もそこに大きく寄与していると思います。また,MMに対する手術では,腫瘍の制御だけではなく,術後の整容性なども考慮する必要があります。
    MMの外科的治療における最近の進歩について,大阪市立大学・元村尚嗣先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    橋川和信 神戸大学大学院医学研究科形成外科学准教授


    【回答】

    MMに対する啓蒙,診断技術の向上,センチネルリンパ節生検(sentinel lymph node biopsy:SLNB)の導入や,基礎研究に裏付けられた免疫療法,分子標的薬治療など,MMに対する治療は大きく前進しています。しかし,いまだに手術療法が治療の中心に位置しており,局所・所属リンパ節までの制御が重要であることに変わりはありません。皮膚癌では,病巣部から所属リンパ節の一塊切除が困難であるために,その確実な方法が確立していないのが現実です。特に,所属リンパ節の扱いに関しては,皮膚癌独自のものがなく,他領域の方法を踏襲していることが多いようです。このような観点から,私たちは,皮膚癌独自の手術手技の確立が必要であると考え,術式の開発をしてきました。

    術式の開発に必要不可欠であったのは,SLNナビゲーション手術(SLN navigation surgery)です。SLN navigation surgeryの目的は症例により異なっています。すなわち,従来のSLNBを目的にしたものや,根治的リンパ節郭清をより確実にするためのものです。特に,顔面のMMでは,そのリンパ流は複雑であり,色素法,蛍光法,ラジオアイソトープ(radioisotope:RI)法を用いた3 map­ping法によるSLN navigation surgeryが望ましいと考えます1)

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