全国自治体病院協議会の中島豊爾副会長は、13日の会見で、精神保健福祉法改正案を大筋で評価するとした「意見」を公表した。
今年2月に国会に提出された改正案は、相模原市の障害者支援施設事件を踏まえ、措置入院患者が退院後も継続的に医療を受ける仕組みの整備として、市町村・警察等の関係機関、精神科医療関係者、障害者団体等が、地域の精神科医療機関の役割分担や連携、関係機関間の情報共有の方法などについて協議する会議の開催などが柱。これに対し日本精神神経学会が、改正は犯罪防止目的だとして懸念を表明している。
「意見」では、改正法案について「大筋で前向きに評価できる」とした上で、要望も列挙。措置入院者の退院後支援の確実な実施を目的とした自治体の人員体制の調整や、警察官通報、指定医による診察、措置入院の要否の判断等、措置入院のいわゆる入り口に「無視できない地域差」があるとして、国に自治体での運用を標準化するための検討を求めた。
中島氏は、「特に薬物絡みの場合、プログラムを持っていない精神病院では、症状が落ち着けば、退院後のフォローを考えずに早く帰そうとする」と現状を指摘。改正法案による措置入院医療の前進に期待を示した。法改正が、障害者支援施設事件や、聖マリアンナ医大等で相次いだ精神保健指定医の不正取得発覚を受けたものであることについては、「事件や病院の不祥事がなければ法律が変わらないのは大問題」と非難した。