皮膚科の先生方には、いつもお世話になっております。近年は、アトピー性皮膚炎の患者の増加に苦慮されていると思いますが、眼科においてもアトピー性皮膚炎に伴う眼合併症の治療をする機会が増加しております。特に、白内障の合併が10~20%程度にみられますが、アトピー性皮膚炎の患者の多くは若年者であることもあり、生活上の負担は大きなものです。
アトピー性白内障は、眼部をこする、叩くといった繰り返しの刺激による外傷性の要因で生じることが、組織学的検証から判明しています。白内障そのものは手術によって治癒し、視力回復を得られますが、調節力が失われることで若年の患者は不便を感じることが多いようです。また、手術は問題なく終わっても、術後も眼部への刺激が続けば水晶体嚢内から眼内レンズが脱出したり、チン小帯断裂により眼内レンズの偏位が生じる場合があります。最近では、若年での調節力消失による苦痛を軽減するため多焦点眼内レンズの使用も増えていますが、その機能を発揮するには中心固定維持が重要となります。また、単焦点眼内レンズであっても、近年は多くの眼内レンズが視機能を向上させるため、球面収差を抑えた非球面構造になっていますが、非球面レンズの偏位は球面レンズの場合より視機能の低下が大きくなります。
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