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肝血管筋脂肪腫【肝細胞癌と鑑別の必要な多血性腫瘍】

No.4854 (2017年05月06日発行) P.52

水本哲也 (愛媛大学肝胆膵・乳腺外科)

藤山泰二 (愛媛大学肝胆膵・乳腺外科准教授)

高田泰次 (愛媛大学肝胆膵・乳腺外科教授)

登録日: 2017-05-02

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血管筋脂肪腫(AML)は腎臓に好発する腫瘍で,肝臓に発生するのは稀とされてきたが,1976年のIshak の報告1)以降,肝AMLの報告例が増加している。肝AMLの半数は無症状で,腎AMLのように結節性硬化症に合併する症例は少ない。女性に好発し,中年に多い。ほとんどの場合,単発例であり,多発例は6.7%と少ない2)。正常肝を背景とすることが多く,肝内発生部位の偏りはない。画像上,多血性で肝細胞癌(HCC)との鑑別に難渋することも多い。

典型的肝AMLは,超音波検査では高エコー,単純CT検査ではlow density,dynamic CT検査では動脈相で強く造影される。MRI検査ではT1強調で低~高信号,T2強調で高信号となる。FDG-PET/CT検査にて集積亢進を示す報告もあり,特に平滑筋成分主体の肝AMLや腫瘍内出血を認める場合には集積亢進を示す。組織学的には,平滑筋・血管・脂肪細胞が混在しており,3成分の割合は症例により異なる。これまで200余例の肝AMLの報告のうち,確認できた遠隔転移例は3例で,現在のところ肝AMLの悪性度の評価基準はまだない3)

肝AMLは基本的には良性腫瘍であるが,悪性の可能性を念頭に置いて外科的切除を考慮する必要がある。

【文献】

1) Ishak KG:Hepatocellular carcinoma. Okuda K, et al, ed. John Wiley & Sons, 1976, p247-307.

2) Tsui WM, et al:Am J Surg Pathol. 1999;23(1): 34-48.

3) 野々村昭孝, 他:診断病理. 2008;25(3):155-70.

【解説】

水本哲也*1,藤山泰二*2,高田泰次*3   *1愛媛大学肝胆膵・乳腺外科 *2同准教授 *3同教授

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