うつ病になりやすい人の気質・性格として,昔から言われているものがあります。専門用語で「メランコリー親和型気質」「循環性格」「執着気質」などと言われるタイプです。それぞれを簡単に解説してみましょう。
これらの人たちは組織内では,「真面目で誠実な人」「親切でよい人」「デキル人」として評価が高かったり職場の重要な役割を担っていたりと,得がたい人材であることが多いですよね。ところがこれらの「真面目な人」「よい人」「デキル人」ほどうつ病になる可能性が高いとされているのです。こういう人がうつ病になって職場を数カ月~半年近く休んでしまうと,組織にとっては大打撃です。
ところが,このような人がバタバタとうつ病などのメンタルヘルス系疾患に罹患していっているのが現在の日本社会の実態なのです。不況が長引き人減らしが進んだ結果,人手不足となっている職場ほど,こうした有能な人・頼みやすい人に重責のある仕事が集中してしまい,彼らの心身を病ませてしまうのです。
慢性的な人手不足に悩む医療現場も例外ではありません。一番頼りにしていた優秀な職員,チームワークづくりの要となっていたキーパーソンが,ある日急に職場に来なくなったらどうなりますか?まずは想像力を働かせ,いかに困るか,混乱するかを考えてみることが大切です。
貴院に,もし上記に紹介した「メランコリー親和型気質」「循環性格」「執着気質」の職員がいる場合,彼らの能力や人柄の良さに現場が甘えすぎていないかどうか観察して下さい。そして万が一,その人たちに対して過重労働や業務の過剰負荷が実際に発生している疑いがあれば,速やかに院長自身が行動を起こして下さい。
このようなタイプの人たちは「大丈夫?仕事大変じゃない?」と表面的に聞くだけでは,「大丈夫です」「はい,頑張れます」と答えて容易に本音を出しません。勤務時間や業務内容を詳細に聴取し,「持ち帰り仕事をしていないか」「残業を連日行っていないか」「不規則出勤が増えていないか」「業務中に休憩がきちんと取れているか」「精神的プレッシャーや緊張度の高い仕事ばかり集中していないか」などを入念にチェックしましょう。そして他の職員と比べて明らかに負荷がかかっている場合は,業務調整や業務軽減など具体的な対策に乗り出して頂きたいと思います。
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