日本老年医学会(楽木宏実理事長)が8日に会見を開き、高齢者の生活習慣病管理に関する4つのガイドライン(GL)を近く発表する予定であることを明らかにした。
発表されるのは糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満の4つ(表)。このうち糖尿病は今月発表される。高齢者の糖尿病治療については昨年、日本糖尿病学会と日本老年医学会が合同で血糖コントロール目標を発表。治療目標は認知機能や基本的ADL、手段的ADL、併存疾患などを考慮して個別に設定することとした。GLでは、この血糖コントロール目標の根拠が示されるという。
6〜7月には高血圧に関するGLが発表予定。日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」で推奨された内容自体の変更はないが、2014年以降のエビデンスを加えている。
高齢者の血圧管理に関しては、収縮期血圧120mmHg未満を降圧目標とした積極的降圧治療により、心血管イベント発生率と総死亡率が低下することが示されたSPRINT試験が2015年に注目を集めた。会見で大石充理事は、血圧測定の方法が日本の一般的な方法とは異なるAOBP法(患者を1人静かな環境下において、自動診察室血圧計により複数回測定)で、診察室血圧より15 mmHgくらい低いことを説明した上で、「(GLには)忍容性があれば140mmHg未満にすると書いてあり、SPRINT試験との整合性が取れている」と紹介。さらに「SPRINT試験のメッセージは、平均3剤程度を使用して厳格に降圧すると、高齢者であっても特に心不全発症が抑制されるというもの」と解説した。