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認知機能改善をめざした薬物療法の適正化【薬剤の中止・減量により認知機能が改善するとの報告が多数挙がっている】

No.4855 (2017年05月13日発行) P.56

中込和幸 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所所長)

内田裕之 (慶應義塾大学医学部精神神経科専任講師)

登録日: 2017-05-11

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  • 認知機能リハビリテーションの認知機能や社会機能に対する有効性は示されていますが,その効果サイズは統合失調症に対して0.4~0.5のレベルで,統合失調症の障害のレベル(認知機能で1~2SD)と比較すると,必ずしも十分なレベルとは言いがたい気がします。もう1つの大きな治療の柱である薬物療法についても認知機能改善効果を持つ薬物の開発が進められていますが,まだ成功事例は得られていません。現時点での認知機能改善をめざした薬物療法の適正化について,慶應義塾大学・内田裕之先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    中込和幸 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所所長

    【回答】

    統合失調症の認知機能障害を改善する薬剤は現時点で販売されておらず,また少なくとも近い将来上市される予定はありません。一方で,認知機能障害を引き起こしうる薬剤を中止・減量することで,認知機能が改善されるという報告が数多くあります。

    第一にベンゾジアゼピン系薬剤が挙げられます。わが国で行われたオープン単群試験によると,慢性期統合失調症患者20人に日中処方されているベンゾジアゼピン抗不安薬を中止したところ,注意機能の改善がみられました1)

    第二に抗コリン性薬剤も認知機能に悪影響を与えます。統合失調症外来患者20人を対象にしたオープン単群試験によると,抗コリン薬の中止により認知機能が改善しました2)

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