【質問者】
鈴木重明 慶應義塾大学医学部神経内科専任講師
IBMは高齢者に発症する治療抵抗性の慢性筋炎で,わが国でも増加しつつあり,1000~1500人程度の患者がいると考えられています1)。増加の理由として高齢化や生活の欧米化が想定されていますが,病気の原因も含め病態の解明はこれからです。
筋束内へのCD8陽性T細胞の浸潤,HLA-ABC抗原の筋形質膜での発現など,炎症性筋疾患と考えられる側面があります。炎症性筋疾患としての側面については,近年抗cytosolic 5’-nucleotidase 1A(cN1A,NT5C1A)抗体がIBMの診断に有用という報告がなされています2)~4)。診断感度は検査法にもよるようですが,感度30%程度,特異度は90%程度です。そのため診断マーカーとしての感度は低いものの,疾患特異度は高い抗体であると言えます。また,少数ながら他の炎症性筋疾患や膠原病で検出されていることから,IBMの炎症性筋疾患としての側面を証明する可能性もあります。
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